- 前立腺肥大症について
- このような症状がある方は
ご相談ください - 前立腺肥大症の原因
- 前立腺肥大症の検査と診断
- 前立腺肥大症の治療
- 症状の軽減するための予防法とは?
- 市販薬の服用は前立腺肥大症を
悪化させるの? - 前立腺肥大症についてのよくある質問
前立腺肥大症について
前立腺は男性だけにある生殖器で、栗の実のような形をしています。膀胱の下の尿道を囲むような位置にあることから、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、頻尿、残尿感、尿をうまく出せないなどの排尿障害を起こします。進行すると症状が悪化し、尿意があるのに尿が出ない「尿閉」など深刻な症状を起こすこともあります。また、前立腺肥大症を放置していると腎臓に負担がかかり腎後性腎不全となるリスクも上昇しますので、早期発見と適切な治療が重要です。
このような症状がある方は
ご相談ください
初期症状はトイレが近くなったなど軽い症状しかありませんが、進行につれて排尿が困難になっていき、尿をまったく出せなくなってしまう「尿閉」という深刻な症状を起こすこともあります。また、症状が軽くても排尿後も尿が膀胱に残るようになると尿路感染症や腎不全などを合併しやすくなります。
さらに、トイレが近い、突然激しい尿意に襲われるといった症状は、外出や仕事、人付き合いに支障を及ぼしやすく、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を大きく低下させる可能性もあります。
排尿に関して、気になることや不安がありましたら、早めにご相談ください。
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症は名称の通り前立腺が肥大する疾患です。前立腺が肥大する原因はまだ明確になっていませんが、男性ホルモンのバランスが加齢によって乱れることが関与していると考えられています。実際に年齢を重ねると前立腺は肥大しやすくなり、50歳を超えると前立腺肥大症の発症リスクが上昇するとされています。
他にも、肥満、生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)なども発症や進行に関与すると考えられています。
前立腺肥大症の検査と診断
症状の内容、はじめて症状に気付いた時期と経過、頻度、他の疾患の有無と服用している薬、症状に関するお悩みなどについて問診でしっかり伺います。
問診の内容から前立腺肥大症が疑われる場合には、下記の検査を行い、結果を総合的に判断して確定診断を行います。
尿流量測定検査
(ウロフロメトリー検査)
測定機器が搭載された専用のトイレで、いつも通りに排尿することで、尿量、勢い、排尿時間などを正確に測定できる検査です。座った姿勢・立った姿勢のどちらでも測定が可能です。
残尿測定検査
排尿後に超音波(エコー)検査を行って残尿量を調べます。
超音波(エコー)検査
前立腺の大きさ、形状、石灰化の有無など、リアルタイムの状態を把握できます。
前立腺触診(直腸診)
肛門に指を入れて前立腺の状態を触診によって確認する検査です。医療用ゼリーを使いますので、検査中の痛みや違和感はほとんどありません。
前立腺肥大症の治療
検査結果をわかりやすくお伝えし、可能な治療方法についてしっかりお伝えし、患者様と相談しながら治療方針を決めています。
治療方法は、大きく薬物療法と手術療法に分けられますが、軽度の場合は基本的に薬物療法が選択されます。状態にもよりますが、薬物療法は選択肢が多く、メリットとデメリット、リスクなどを十分に考慮した上でご自分に合った治療法を選択する必要があります。ご不明点があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
薬物療法
症状の緩和や解消、前立腺の縮小、炎症を改善して腫れを抑えるなど、様々な効能を持った薬があります。また、薬の効果が現れるまでの期間にも違いがあるなど、お困りの内容やライフスタイルなども考慮して治療方針を決めることが重要です。漢方薬の併用も可能です。
5α=還元酵素阻害薬
男性ホルモンの働きを抑え、前立腺が徐々に縮小する効果を期待できる薬です。尿道を囲む前立腺による圧迫が弱くなることで排尿がスムーズになり、症状緩和につながります。ただし、薬の効果が現れるまである程度の期間がかかりますので、焦らずにじっくり治療に取り組む必要があります。
α1受容体遮断薬・PDE5阻害薬
排尿に関与する筋肉を弛緩させて尿路への圧迫を軽減し、スムーズな排尿を期待できる薬です。5α=還元酵素阻害薬に比べると短期間で効果を得やすいのですが、前立腺肥大自体は縮小しません。
漢方薬・植物エキス製剤・
アミノ酸製剤
前立腺の炎症を抑える効果が期待できる薬です。炎症が鎮まることで腫れがひき、尿路への圧迫が軽減されて症状緩和につながります。
手術療法
薬物療法では十分な効果を得られない、尿閉など重い症状がある、尿路感染症や腎臓病を併発しているなどの場合に検討されます。以前は開腹手術として行われていましたが、現在はほとんどのケースで侵襲が少なく回復も早い内視鏡による手術が可能になってきています。
内視鏡手術の流れ
尿道口から挿入した内視鏡スコープで状態を確認しながら手術を行います。
先端の電気メスやレーザーを使って、前立腺の切除・くり抜き・蒸散を行って肥大した前立腺を縮小します。
傷が最小限で心身への負担が抑えられ、術後の回復も早いことが大きなメリットとなっています。
症状の軽減するための
予防法とは?
排尿障害の症状は前立腺肥大だけでなく、様々な原因も関与しています。
排尿障害の症状を軽減するためには、早めに受診して適切な治療を受け、下記のような生活習慣を心がけることが重要です。
- 尿意を我慢し過ぎず、早めにトイレに行く
- 身体を冷やさない・足腰を温める
- 習慣的に軽めの運動を行って血行や代謝を改善する
- 便秘を解消する
- アルコールや刺激の強い香辛料の過剰摂取を避ける
市販薬の服用は
前立腺肥大症を悪化させるの?
ドラッグストアで売られている市販薬の一般的な風邪薬や胃腸薬などには、前立腺肥大症の症状を悪化させる可能性がある抗コリン薬が含まれているものがあります。抗コリン薬は排尿を抑える作用があり、前立腺肥大症がある場合に安易に服用することは危険です。
前立腺肥大症と診断されたら、主治医と相談し、風邪や胃腸炎などの際に服用しても大丈夫な市販薬を聞いておくと安心できます。
前立腺肥大症についてのよくある質問
薬はどれを選ぶべきですか?α1遮断薬・5α還元酵素阻害薬・PDE阻害薬の違いが知りたいです
ざっくり言うと、症状を早く軽くしたい時に使われやすいのがα1受容体遮断薬・PDE阻害薬、前立腺のサイズ自体を時間をかけて小さくしていくのが5α還元酵素阻害薬です。α1受容体遮断薬・PDE阻害薬は比較的短期間で効果を得やすい一方で前立腺そのものは縮小しないこと、5α還元酵素阻害薬は前立腺が徐々に縮小するが効果発現まで一定期間がかかります。
困っている症状が「尿の勢いが弱い」「出し切れない」「出るまで時間がかかる」などの排尿困難寄りか、「夜間頻尿がつらい」など生活への影響が中心かで優先順位が変わります。前立腺の腫大がはっきりしているケースでは、5α還元酵素阻害薬が前立腺容積の縮小や急性尿閉・手術リスク低下につながることが報告されています。
「早さを取るか、長期戦で根を小さくするか」を軸に、生活スタイル(立ち仕事、運転、夜勤など)と副作用許容度も合わせて決めるのが現実的です。また併用していくことも可能です。
前立腺肥大症の薬で性機能や射精に影響は出ますか?
起こり得ます。特にα遮断薬では射精障害が話題になりやすく、立ちくらみなどの循環器系の副作用と並んで、生活の質に直結する点です。α遮断薬の副作用として起立性低血圧に加え射精障害が一定割合で起こりうることが述べられています。一方でPDE阻害薬では男性機能は少し改善することがありますが、他のご病気で循環器系の薬を内服されている方への投与は慎重にする必要があります。
男性機能は前立腺肥大症の薬の調整だけで改善することもあれば、睡眠不足やストレス、併存する生活習慣病が影響していることもあります。
立ちくらみが心配です。α遮断薬で転びやすくなりますか?
体質と状況次第で、転倒リスクが上がる可能性はあります。α遮断薬の代表的な副作用として起立性低血圧が挙げられており、高齢者では転倒につながり得ます。
工夫できることとしては、生活動作の「危ない瞬間」を先回りして潰すことです。例えば起床直後に急に立ち上がらず、ベッド端で数十秒待ってから立つ、入浴後や飲酒後の立ち上がりをゆっくりにする、脱水になりやすい日に無理をしない。服薬のタイミングを夜に寄せることで立ちくらみを軽減できる場合があるという考え方もあります。
一方で、車の運転や高所作業がある人は「最初の数日〜調整期間」の過ごし方が重要になります。
検査で何が分かりますか?尿流量測定と残尿測定の読み方のイメージを知りたいです
前立腺肥大症の評価は「尿の通り道が狭まっているか」と「出し切れているか」を具体化する作業です。尿流量測定(ウロフロメトリー)は、尿の勢い・排尿時間・尿量などを数値化し、残尿測定は排尿後にどれくらい膀胱に残っているかをエコーで確認します。
ここでのポイントは、数値が一発で病名を決めるというより「症状の原因が前立腺の圧迫によるものなのか」「膀胱の収縮力が落ちているのか」「両方なのか」を切り分ける材料になることです。例えば勢いが弱くても残尿が少ない人もいれば、勢いはそこそこでも残尿が多い人もいます。治療の狙いは、勢いを少しでも上げることなのか、残尿を減らして感染や尿閉のリスクを下げることなのかで変わります。検査結果を「生活の困りごと」とセットで解釈するのが、治療の納得感につながります。
夜間頻尿は前立腺肥大症のせいですか?夜だけ何度も起きます
夜間頻尿は前立腺肥大症の代表的な悩みですが、前立腺だけで説明できないケースがかなりあります。
一方で、夜に尿が増える体のリズム(夜間多尿)、夕方以降の水分・アルコール、足のむくみ(夜に水分が戻って尿になる)、膀胱の過敏性が更新する過活動膀胱、睡眠時無呼吸などが重なると、前立腺治療だけで夜間頻尿が十分に改善しないことがあります。
対策は「夜の尿を減らす」と「膀胱が尿意を感じる要因を減らす」に分けると整理しやすいです。夕方以降の塩分やアルコールを控える、就寝前だけ極端に水分をとらない、夕方に軽く歩いてむくみを散らす、就寝前に足を少し上げて休む。こうした行動は、前立腺の薬を増やす前に検討する価値があります。夜間頻尿が「前立腺肥大」型なのか「夜の尿が多い」型なのか、「過活動膀胱」型なのかでそれ以外なのかで戦略が変わるため、この切り分けが重要です。